『罪の声』レビュー|実在事件をもとにした静かな衝撃作
📺 配信中:U-NEXT / Amazonプライムビデオ
🎥 作品概要
『罪の声』は、塩田武士のベストセラー小説を原作に、社会の闇と個人の運命を交錯させた重厚なサスペンス映画です。1980年代に実際に起きた「グリコ・森永事件」をモチーフに、フィクションとして再構成された本作は、フィクションでありながら限りなく現実に近い臨場感と、圧倒的な説得力を持っています。
主人公は、小栗旬演じる一般人・曽根俊也と、星野源演じる新聞記者・阿久津英士。曽根が偶然見つけた一本のカセットテープをきっかけに、30年以上前の未解決事件の真相に少しずつ迫っていくという筋書きです。派手なアクションや劇的な音楽ではなく、静謐な語り口と丁寧な取材に基づいた構成によって、鑑賞者をじわじわと引き込んでいきます。
✨ 感想・見どころ
この作品の最大の魅力は、サスペンスでありながら「誰が悪かったのか」ではなく、「罪は誰の中に生まれるのか」を丁寧に掘り下げていく姿勢にあります。メディアの視点、一般市民の視点、加害者の家族の視点、それぞれの立場が複雑に交差し、「真実」とは何かを問いかけてきます。
小栗旬と星野源の演技は、どちらも抑制が効いており、感情を爆発させるのではなく内面の揺れを繊細に描写することに長けています。特に、曽根が自らの過去に向き合い始めるシーンは、静かな涙を誘う名場面。重厚なテーマながら、テンポはよく、観る者を飽きさせません。
また、映像のトーンはやや暗めながら美しく、京都や大阪の街並みが物語に重みと現実味を与えています。音楽も極めて控えめで、セリフや沈黙の余韻が際立つ演出は、邦画の真骨頂とも言える仕上がりです。
📡 配信中のVODで今すぐ視聴
- U-NEXT: 見放題対象
- Amazonプライムビデオ: レンタル対象(時期により変動)
コメント